どーもVOXです
今ブームになっているクラフト蒸溜所(クラフトウイスキー)
その先駆者として圧倒的な人気・実力を誇っているのが
株式会社ベンチャーウイスキーが運営する「秩父蒸溜所」
そしてその代表作【イチローズモルト】
今回はそんなイチローズモルトのストーリーや背景、魅力について紹介していきます
・【肥土伊知郎】について
・【秩父蒸溜所】について
・【イチローズモルト】について
この記事を書いているVOXは
・ウイスキー検定2級
・ウイスキー歴9年
・カフェバーの店長歴6年
【肥土伊知郎(あくといちろう)】
イチローズモルトを語るうえでまずこの方について語らなければ始まりません
イチローズモルトの生みの親、肥土伊知郎氏です
イチローズモルトの名前の由来はご自身の名前からですね
※まだ僕が勉強不足だったころは、大リーガーのイチロー選手関連のウイスキーだと思ってましたwすみません、、、
肥土伊知郎氏は、江戸時代から続く日本酒の蔵元の21代目として生まれ、出身は秩父
祖父は羽生蒸溜所を運営していた東亜酒造の設立者
肥土氏は大学卒業後サントリーに入社しますが、29歳の時、経営が傾きかけていた東亜酒造を手伝うためサントリーを退社します
しかし東亜酒造は2000年に経営破綻し民事再生法を適用し、翌2001年に父親から経営を譲り受け社長に就任するも業績は回復せず、、、
結局2003年に日の出通商に売却を決定
しかし、日の出通商はウイスキー事業からの撤退を決断し、東亜酒造の羽生蒸溜所にあったウイスキー原酒は、期限付きで引き取り手が見つからなければ廃棄されるという決定が下る
※ウイスキーは他のお酒と違って熟成期間が長いため、事業化するのが難しく、日の出通商は日本酒や料理酒に経営の重きを置いたそうです
羽生蒸溜所のウイスキー原酒に将来性を見出していた肥土氏は、ウイスキー原酒を引き取ってくれる企業を探しつづけ、福島の笹の川酒造からの援助を取り付けました
※当時、東亜酒造の従業員は、羽生蒸溜所にあったウイスキー原酒を「クセが強くて売りにくい」として過小評価していたが、肥土氏は「面白みのある味」だと感じ将来性を見出していたそうです
先見の明ってやつですね
※ウイスキー原酒の引き取り手を探すのはかなり難航したそうです
なぜかというと、当時ウイスキーは売上が低迷していたからです
ハイボールブームは2008年から。しかもこのハイボールブームを予想していた人も殆ど居なかったでしょうから、その難航さが伺えます、、、
笹の川酒造の社長山口氏は、長い時間をかけて熟成させた原酒を捨てるのは「いちメーカーだけでなくて業界の損失」「酒の文化に対する反逆」と憤慨していたそうです
また、山口氏は肥土氏の姿勢について「ウイスキーがどん底の時代、肥土さんは本当に熱く語っていた。その熱意に押された」と振り返っていたそうです
二人の熱い想いがひしひしと伝わってきますよね!
結局”良いものがつくられるとき”って情熱だったり想いだったり、人の心の部分が大きく左右するものなのでしょう
株式会社ベンチャーウイスキー
東亜酒造は2004年、日の出通商グループに入りますが、肥土氏は同社を離れ、羽生蒸留所の原酒や自前で蒸留した原酒を使用するウイスキー「イチローズモルト」の製造・販売を目的に、同年9月にベンチャーウイスキーを設立しました
ベンチャーウイスキー最初の商品は
【イチローズモルト ヴィンテージシングルモルト1988】
価格は13,500円(税抜き)で、2005年5月に笹の川酒造でワインボトル600本に瓶詰されました
高価なウイスキーであり、当時は無名でブランド力も無い
そんなウイスキーを売るには、「味で勝負するしかない」
こう考えた肥土氏は約2,000件のバーを回って営業し、味を確かめてもらい、約2年かけて600本を売り切ったそうです
※サントリー時代、営業だったそうなので、それが活きたのでしょうか、、、しかしこれまた肥土氏の情熱・行動力、想いがなせる業なんでしょう
秩父蒸溜所
秩父蒸溜所は2007年に完成し、2008年に製造免許を取得して蒸溜を開始しました
因みに、日本でウイスキーの製造免許が交付されたのは35年ぶりのことだそうです、、、やはり当時はウイスキーにとって相当過酷な時代だったんですね
肥土氏が秩父を選んだ理由は
・故郷だったから
・肥土家が江戸時代から日本酒を造ってきた地であり、酒造りに適した環境であったから
ここでまた肥土氏の情熱・熱い想いが感じられるエピソードがあります
秩父に蒸溜所をつくるための土地を確保するために、埼玉県が所有する秩父の工業団地に入居の申請をしました
そこで県の担当者は、実績の無いベンチャー企業に土地を貸し出した前例がなかったので、断ることを前提に肥土氏に会いました
が、その担当者は肥土氏の熱い気持ちに絆され判断を保留
その後上司を伴い、肥土氏に会いに行ったところ、その上司も「ウイスキー事業をやらせてあげたい!」と共感し判断を保留
結局、県は議論を重ね、プレゼンをする流れになり、その肥土氏のプレゼンにより県の幹部の心を動かし、土地の借受の許可が下りたそうです
県の担当者・その上司・県幹部、県全体を動かすほどの熱意、、、僕も肥土さんに会いたくなってきました!
秩父の夏は高温多湿、冬は朝晩が氷点下にいたる寒さの厳しい環境
しかしその厳しい環境はウイスキーの熟成に多大な影響を与えると言われ、短い熟成期間にも関わらずフルーティでバランスの良いウイスキーが仕上がります
仕込み水は、天然のミネラルが溶け込んだ大血川渓谷水系の軟水を使用
また近年では地元埼玉県産の大麦を使い、小ロットながらフロアモルティングを始めているそうです
スコッチの伝統を習い、地産地消を重んじる
これが秩父蒸溜所が愛されている理由ですね
【イチローズモルト】の種類
イチローズモルトは「ワールド・ウイスキー・アワード」で数多くの世界最高賞を取っています
因みに2017年から5年連続受賞中です。圧巻ですね
しかしそのため、幸か不幸か【イチローズモルト】は評価が高すぎるため品薄(価格高騰)が続いています、、、
そんな中、比較的安価で安定供給されているのが【イチローズ モルト&グレーン】です
【イチローズ モルト&グレーン (ホワイトラベル)】
こちらはブレンデッドウイスキーです。かつワールドブレンデッドウイスキーです(通称ホワイトラベル)
世界の9蒸溜所のモルト原酒と2蒸留所のグレーンウイスキーをブレンド(使用原酒は不明)
キーモルトは秩父蒸溜所創業当時のウイスキー原酒
くせのある創業当時の原酒を世界から集めたモルト&グレーンで飲みやすくしたウイスキーですね
【イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ MWR リーフラベル】
こちらはリーフシリーズの一つ、ミズナラウッドリザーブ
価格が高騰しており、15,000円を超える商品となっています
リーフシリーズというのは、ラベルやケースにミズナラの葉をあしらっているイチローズのブレンデッドウイスキーです
熟成樽にミズナラ樽を使用。ミズナラの独特な香りは、どこかお香を連想させるものとなっており、日本人好みに仕上がっています
【イチローズモルト 秩父シリーズ】
ブレンデッドではなく【イチローズモルト】の真骨頂、シングルモルトを愉しみたい、という方には「秩父シリーズ」をおすすめします
商品名に「秩父」があれば大抵シングルモルトです
芳醇な香りとフルーティさ、そこにバニラやハチミツの甘さも加わった複雑な味わい、それでいて後味が良い。というくせになること間違いなしのウイスキーです
こちらは少数生産ということもあってリーフシリーズ以上に価格が高騰しています
まとめ
今回は世界を魅了するウイスキー【イチローズモルト】とその生みの親、肥土伊知郎さんのストーリーや魅力を紹介しました
ウイスキーの美味しさは当然
水・気候・麦芽が大事になってきますが、それ以前に
つくり手の情熱・良いものをつくりたい!という想い
が無ければダメなんだな、と改めて感じました
こんな素晴らしい熱意から生まれたウイスキー【イチローズモルト】
是非一度味わってみてください!!